おれは農奴。初雪が降り、大地は真っ白な雪で覆われた夕方。素足のおれは、凍えながらレンガ積みをしていた。宮殿からは、華やかな音楽がきこえる。奴隷は、上をみてはいけないことになっている。破れば、捕らえられ貴族の道具に。
俺は美しいハイヒールの脚を、ちらっと見た。光沢のある、黒いストッキング。貴族のカップルがキスを楽しんでいた。光る唇から、舌が出たり入ったり。長いピアスがキラキラしていた。
そのとき、目をつぶっていた美しい令嬢と目が合った。やばい... おれは凍えるなか、一糸まとわぬ全裸にされた。そして令嬢の足もとで、床に額をつけ、ひれ伏す。濃茶のブーツに、最大の敬意をはらい、舌で、尖がったつま先を一生懸命舐める。お召しになられたブーツは、金属製のピンヒール。
おれの頬から鼻にかけ、鋭く皮膚を傷つけ、そして鮮血が滴る。ブーツは残忍にゆっくり獲物の品定めをしているのか。おれのクビ筋に、おみ足は載せられた。とがったヒールは容赦なく、耳たぶを踏みつぶした。
「ぎゃーあああぎゃー」 悲鳴をあげたが、両手両足は八つ裂きのようにピンと貼られ、まったく身動きができず、貴族達の見せ物生き物に過ぎない。
美しい令嬢は、毛皮のコート。縫い目がそろって、ぴったりした白革手袋が鈍く光る。その華奢な手は、乗馬用の長い鞭をキュッと握り替える。次の瞬間、俺の右の乳首に正確な一撃が加えられた。手足を拘束され、身動きがまったくできず、苦痛で体をよじらせるだけ。
「踵の先をおまえの舌できれいにしなさい」 命じられた俺は、冷たい金属のとがったヒールについた俺の血をむさぼるように、舐めあげた。
「ねえ、汚い唾もついてるよねえ。」「あれって、ちょっと重罪じゃなあい」見物席の皮張りソファで抱き合っていた貴族の令嬢が横目で囁いた。「きたねえ。これって、やばくねえ」「そうそう、八つ裂きって、どう。」「時々見たくなるよね。」
その令嬢はダイアモンドのリングの手をひらひらさせて、軽く云った。「そうねえ。おまえを八つ裂きの刑に処す!」
「もっと苦痛を与えてたのしみましょう。ワインを楽しみながら。」おれは、黙って、ピカピカに光ったロングブーツの傍らで、床に顔をくっつけた。ときどき、ヒールがうなじに載せられ、きつく踏みつぶされた。
「苦しんでいる男をしばりつけ、鞭で打っていたぶるのって、最高。ちょーきもちいい。」「ほら、慈悲を乞いなさい。」ぴしっつ。「ほーら、わたしの快感の為に苦しみなさい。」ぴしっ、ばしっ ひいー。「鞭打たれて、馬のように、悦びなさい。」ぴしっ うぎゃああ。
侯爵令嬢、佐夜香は、うずくまっている奴隷の頬にとがったブーツの先をあてた。つま先から、生き物の反応が伝わってきた。そして征服感に酔いしれた。そして、恍惚は秘部を濡らした。
ホワイトベージュのイタリア製のブーツのメタルヒールがピカリと光った。つま先は男のこめかみから、顎下までするりとはいりこみ、喉元に達して、ヒールを視点にして、男の首をもちあげた。奴隷に、正視を許可した。
奴隷階級は、いかなる時においても貴族を正視してはいけないと法に定められている。貴族が運転する自動車が通りかかった時は、地面に頭を付け土下座をしなくてはならない。というか、貴族の狩猟の的にされてしまうのだ。
奴隷が土下座していても、貴族の運転するベンツの幅広のタイヤに簡単に轢かれてしまう事がある。そういうとき、貴族は、革のドライビンググローブの手で、コツンとレバーをチェンジして、いとも簡単に首の骨を折ることだって可能だ。
俺は、顔をあげて令嬢を初めてしっかりと見た。それまで香水の残り香でしか想像できなかった女性。奴隷の俺には、美しすぎるくらい輝いてみえた。俺は、全裸でひれ伏しているのに、侯爵令嬢にふさわしい、盛装の女性が立っていた。
良く見ると、ホワイトベージュのサイハイブーツ。サテンのミニワンピースのスカートまで、光沢のあるストッキング。バックシームがすらりと伸びている。整った化粧。ラメが光るブルーのアイシャドウ。ライトグレーのフォックスの毛皮ボレロを羽織り、キッドロンググローブをはめていた。
法律は奴隷階級の管理のため、生後六歳にICチップの埋め込みを規定している。チップは非常に細長い構造で、内頸動脈のすぐ横に注入され、摘出は不可能である。国内のゲートにて、奴隷の居場所が瞬時に所有者に伝えられる。
突起の一部は三叉神経に伸びているため、ゲートの磁気により奴隷に鋭い苦痛を与えることが可能。反逆に対しては、振動で内頸動脈を破裂させる。貴族用携帯には、周囲50メートルの奴隷に激頭痛を与えるボタンが備わっている。
一瞬、侯爵令嬢佐夜香は、はっとしたが、高貴な口元から發せられた言葉は、「無礼者!」パッシッ! うぎゃっ。華奢な手は、奴隷のオイタを許さなかった。奴隷には貴族の御前で、発言する事は法で禁止されている。
「おまえの舌も、ハイヒールで串刺しにするわよ」ヒールの音、キキュッ! うぎゃっ。彼女は地べたにはりつけにされた奴隷の頬を、横蹴りにした。イタリア製のブーツに包まれた佐夜香の整った美脚には、苦しんでいる生き物の醜いうごめきの感触が伝わってきた。
「とんがりトゥとピンヒールは、奴隷に痛みを感じさせる為には最高ね。ねぇ五郎さま。」バルコニーでのキスのお相手であるフィアンセに向かって微笑んだ。
ぴったりした黑革のスーツを着ていた五郎は、ゾロのような革の仮面を着用した。しなやかな黑革のドライビンググローブをキュッとはめ直し、アメリカ製の黑のウエスタンブーツのヒールの音を立てながら、今日の犠牲に近づいた。
「この鞭、お使いになってみて。どんな強い男でも簡単にひざまずかせることができるんですって。」ぴしっつ。ぎゃあ。佐夜香は五郎に説明するために、男の横腹を鞭で打った。「まるで電気ショックみたいな衝撃だな。」五郎は、金属入りの尖ったブーツのトゥで、男の横腹のミミズ腫れを撫でながら頷いた。
そして衛兵に命じ、うずくまっていた奴隷を、天井につるしあげた。奴隷は自由をまったく奪われた姿で、一糸まとわぬ全裸で晒された。見せつけることが、また性感を高める。美しさは貴族にのみ与えられた特権。征服し、拷問を与える楽しみも、貴族にのみ与えられた特権なのだ。